授業名 | 物質科学研究3(99FB090) | 授業名(英) | Material Science Research 3 |
教員名 | 石川 敏弘 | ||
開講年度学期 | 2020年度 前期~後期 | ||
曜日時限 | 前期(集中講義)、後期(集中講義) | ||
開講学科 | 大学院 工学研究科工学専攻 |
単位 | 8.0 | 学年 | 博士後期課程3年 |
区分 | 物質・材料 | 課程 | 選択必修 |
概要 | 優れた力学的特性と高温特性を示す炭化ケイ素焼結体は、ボールミル等の粉末混合及び加圧焼結プロセスを中心として合成されている。もし、ボールミル混合を必要としない新しい粒界相固相焼結現象を用いた常圧焼結プロセスが実現できれば、高純度で高性能な炭化ケイ素焼結体が革新的省エネルギープロセスで製造できる。そこで本研究では、溶液プロセスを用いて合成したAl含有水溶性前駆体高分子を炭化ケイ素粉末の粒界に浸透させ、不融化ならびに炭化反応を経て調整されるAl含有前駆体(シリカ&炭素混合体)粒界相のCarbothermal Reductionにより得られる予備成形体を、1700℃を超える高温のArガス雰囲気中で熱処理することにより、純度の高い炭化ケイ素固相焼結体を得るというものである。このような水溶性原料を用いることにより、ボールミル混合を用いることなく、炭化ケイ素微粒子の粒界相で固相焼結を形成させる新しいプロセスを提案し実証する。これにより、炭化ケイ素のように共有結合性が強い難焼結性セラミックス材料の「革新的常圧焼結プロセス」の開発に資する基盤技術を構築することを目的として研究を進める。 |
達成目標 | 自ら重要課題を設定し、より効果的な解決策を立案し、その解決策を実践してゆく能力を養う。また、得られた成果について、国内外で専門的な議論が展開できるよう“高度な専門性”を身に着けさせる。 |
学習教育目標 | 目標(A) 広い視野での社会観と責任能力を持つ技術者の養成:〇 目標(B) コミュニケーション能力の習得: 〇 目標(C) 数学と自然科学、情報技術の知識の習得:〇 目標(D) 化学の学習・実践による計画と実践力の習得:〇 目標(E) 化学の専門的知識と応用力の習得: ◎ 目標(F) デザイン能力の養成:〇 |
成績評価方法 | 研究デザイン能力(研究の意義を理解し、研究推進のためにどのような実験をデザインし、実施したらよいかを考える能力) 研究遂行能力(真面目に十分な量の研究を行う能力) 自主的継続的学習能力(自主的に研究を進め、今後も進めることができる能力) 関連学力(研究背景、基礎知識、社会的意義などの知識とそれを応用する能力) 総合的考察力(地球的規模で多面的に物事を考える能力) 表現・発表能力(予稿、OHPなどを適切な言葉を用いて時間内でまとめて発表する能力) 以上より最終的な評価を与える。S:90~100点、A:80~89点、B:70~79点、C:60~69点、D:59点以下(不合格) 再試験は実施しない |
教科書 | |
参考書 | |
履修上の注意 |
授業計画 | Al含有水溶性前駆体高分子を用いるプロセスにより得られる粒界相形成物質の合成条件を確立させたのち、炭化ケイ素粉末の焼結検討に入ってゆく予定である。 まず、水溶性シリカとクエン酸の縮合反応により得られる前駆体高分子を空気中酸化により不融化処理(200℃~400℃)を行ったのち、窒素中で炭化反応し、得られたシリカ・炭素混合体のCarbothermal Reductionにより化学量論的組成からなる高純度の炭化ケイ素が合成できる条件を確立させる。ここでは、上記不融化反応による前駆体高分子の架橋構造の形成ならびに酸素導入量の調整が最も重要となる。つまり、Carbothermal Reductionを化学量論的に進行させ得る不融化条件の確立がこの前段階の最大のKey Pointとなる。 今年度は、昨年度に昨年度に続き、前駆体高分子の合成条件の絞り込みと、不融化条件の適正化に関する検討を実施し、不融化温度と得られた炭化ケイ素粉末の組成について詳細に調べることにより、限りなく化学量論的組成に近い高純度の炭化ケイ素粉末の合成条件を固めるとともに、原料由来のアルミニウムの固溶状態についても調べる。また、得られた炭化ケイ素粉末の固相焼結現象の詳細とアルミニウムの挙動についても詳細に調べてゆく予定である。更に、得られる炭化ケイ素焼結体の力学的特性の評価ならびに破壊現象についても検討する予定である。 この次の段階として、前述の水溶性原料を炭化ケイ素粉末の粒界相として機能させた「炭化ケイ素固相焼結現象」についても検討を開始し、次年度の高純度炭化ケイ素焼結体の製造技術の確立に繋げてゆく。 今年度の研究成果については、著名な国際学術論文誌に投稿・掲載されるよう指導してゆくとともに、学位論文として纏め上げる。 |
注意 |
- 教員: 石川 敏弘